
では「埼玉県の公立高校入試状況」について見てみましょう。
目次
公立入試の出願状況
2020年2月25日発表の埼玉県公立高校入学者選抜の志願者数は、全日制の普通・専門・総合学科の合計で41,393名でした。
入学できる人数は36,880名なので、平均倍率は1.12倍(昨年度1.16倍)でした。
全日制の公立高校希望者はここ数年は減少傾向にあります。、公立高校を希望する生徒の比率は、2010年の82.1%を最高値として、その後は減少しています。特にここ4年間は大きく下がり、2019年が69.3%、2020年は67.3%でした。
公立高校の全体の募集定員数は、卒業生の人数に応じて例年増減します(参考1)。今年度は19クラス760名が削減されています。今年は、大宮光陵(普通科普通コース)だけが40名拡大し200名定員となりました。
【参考1】募集定員が「40名削減」された学校(20校)
上尾橘、岩槻商業(商業)、岩槻北陵、浦和工業(電気)、桶川西、北本、栗橋北彩、鴻巣女子(普通)、児玉(普通)、狭山工業(電気)、白岡、杉戸、誠和福祉(総合)、鶴ヶ島清風、飯能南(スポーツ)、深谷、富士見、ふじみ野(普通)、三郷、和光
埼玉県公立高校 入試選抜のしくみ
埼玉県公立高校の選抜方法は「学力検査(5教科)」と「調査書」の合計点を基準として選抜されます。また、面接や実技検査を行う学校も一部あります。
学力検査
5教科(国数社理英)の学力検査が実施され、各教科100点満点です。また、英語でリスニングが行われます。学校により、英語と数学の問題の一部に応用的な内容を含む「学校選択問題」が実施されています。(参考2)
また一部の学校では、学力検査で「特定の教科を2倍」にして選抜する傾斜配点が、高校により実施されます。(参考3)
【参考2】学校選択問題実施校
浦和、浦和第一女子、浦和西、大宮(普通、理数)、春日部、春日部女子(普通・外国語)、川口北、川越、川越女子、川越南、熊谷、熊谷女子、熊谷西(普通、理数)、越ヶ谷、越谷北(普通、理数)、所沢、所沢北(普通、理数)、不動岡(普通、外国語)、和光国際(普通、外国語)、和光国際(普通、理数)、蕨
※2021年入試では、春日部女子は実施なし、川口市立が追加
【参考3】傾斜配点実施校(13校)
①「理科・数学」が傾斜配点
大宮(理数)、熊谷西(理数)、所沢北(理数)、松山(理数)、川口市立(理数)、市立大宮北(理数)
②「英語」が傾斜配点
大宮光陵(外国語)、春日部女子(外国語)、越谷南(外国語)、坂戸(外国語)、南陵(外国語)、和光国際(英語)
③「国語・社会・英語」が傾斜配点
春日部東(人文)
調査書
通知表とは別に「3年間の各学年の評定」を記載したものを調査書といいます。1~3学期の評定に応じて学年末評定がつきます
各学年「9教科×5段階で45点満点」となります。内申点の計算では、「中1:中2:中3=1:1:2」など、各高校が定めた比率に応じて評定値をだします。
例)通知表が「中1-40、中2-38、中3-45」、高校の設定比率「1:1:2」の場合
(40✕1)+(38✕1)+(45✕2)=165
内申書の「特別活動等の記録(学級活動・生徒会活動・学校行事・部活動など)」欄や、「その他の項目(英語検定などの取得資格)」や「出欠の記録」欄なども点数化されます。これらの評価項目や評価基準(配点)も高校・学科・コースによって異なり、事前に公表されます。
入試では、「調査書の良し悪し」が合否に多く影響します。

埼玉県公立高校 高倍率人気校
公立高校への希望者が年々減少していますが、実情は「定員割れをしている学校」と「高倍率の人気高校」の2極化が見られます。
定員割れによる欠員補充は、2016年の380名までは減少が続いていましたが、2017年は506名に増加し2018年には990名となりました。2020年度は780名となっています。
公立高校 全コース Top10
高校(コース) | 倍率 | 昨年同期 | |
1 | 市立大宮北(理数) | 2.03 | 1.76 |
2 | 大宮(理数) | 1.93 | 2.18 |
3 | 松山(理数) | 1.73 | 2.05 |
4 | 市立浦和(普通) | 1.58 | 1.87 |
5 | 浦和西(普通) | 1.55 | 1.65 |
5 | 所沢北(理数) | 1.55 | 1.73 |
7 | 蕨(普通) | 1.50 | 1.49 |
7 | 蕨(外国語) | 1.50 | 1.45 |
9 | 浦和(普通) | 1.47 | 1.42 |
10 | 川越(普通) | 1.45 | 1.39 |
(2020年3月5日 現在)
埼玉県公立高校 Top10の気になるところ
- 全体でみると例年通り「理数科」が上位を独占
- 今年度「2.00倍」を越したのは大宮北(理数)のみ
- 理数科は設置校が増えて受験生が分散傾向 (理数科設置校:7校 大宮、熊谷西、越谷北、所沢北、松山、川口市立、市立大宮北)
- 専門学科平均倍率:理数科 1.58倍、外国語科:1.27倍
- 浦和西は年々上昇
- 蕨は設置2学科ともにランクイン
公立高校 普通科 Top10
高校(普通科) | 倍率 | 昨年同期 | |
1 | 市立浦和 | 1.58 | 1.87 |
2 | 浦和西 | 1.55 | 1.57 |
3 | 蕨 | 1.50 | 1.49 |
4 | 浦和 | 1.47 | 1.42 |
5 | 川越 | 1.45 | 1.39 |
6 | 川口北 | 1.39 | 1.29 |
6 | 川越女子 | 1.39 | 1.49 |
8 | 浦和第一女子 | 1.38 | 1.34 |
9 | 市立浦和南 | 1.36 | 1.36 |
10 | 和光国際 | 1.35 | 1.25 |
(2020年3月5日 現在)
埼玉県公立高校 普通科 Top10の気になるところ
- 普通科倍率1.15倍
- 市立浦和が例年安定のtop(2019年のみ越ヶ谷)
- 男女別学の難関校4校がすべてランクイン
- 市立浦和南はTop10内で唯一の「学力検査問題」実施校
- 11位以下は、大宮北(1.34倍)、春日部、越ヶ谷(同1.33倍)、与野(1.32倍)、大宮(1.30倍)と続く
まとめ
公立高校の人気は数字上は下がっていますが、上位倍率校の人気は継続しています。
今後は、大学受験の変化していく中で進学実績や学校の特色など、学校の特色が明確な高校が、公立私立ともに人気校として生徒を集めていくと思われます。
最後までありがとうございました。今後も様々な情報を提供できるようにしたいと思います。